食事摂取基準について知ろうvol.3 〜エネルギーをつくる三大栄養素

栄養には

たんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラル

の5種類があります。

そのうち、「エネルギーをつくりだす」栄養素は

たんぱく質、脂質、炭水化物

の3種類で、これを「三大栄養素」といいます。

今回の記事では、1日あたりにとりたいカロリーや、三大栄養素のバランス等について解説します。

エネルギーの食事摂取基準

食事摂取基準において、カロリーの基準値は次のように決められています。

【30歳男性の場合】
運動量が少ない:2,300kcal
運動量は普通:2,650kcal
運動量が多い:3,050kcal

 

【30歳女性の場合】
運動量が少ない:1,750kcal
運動量は普通:2,000kcal
運動量が多い:2,300kcal

運動量の基準は次の通りです。

運動量が少ない(身体活動レベルⅠ):生活の大部分で座っている場合
運動量は普通(身体活動レベルⅡ):座っていることが多いが、職場内での移動や軽いスポーツ、家事をする場合
運動量が多い(身体活動レベルⅢ):立ち仕事や趣味でスポーツをしている場合

基礎代謝が分かると、もっと正確なカロリー計算ができる!

先ほどの基準値は、一般的な数字ではありますが、身長や体重、それに伴い計算される理想的な体重には個人差があります。自分の基礎代謝量が分かっている場合は、次の計算値を使用して摂取カロリーを計算してみましょう。

基礎代謝量(kcal/日)×身体活動レベルの係数(※)

 

※身体活動レベルⅠの場合=1.5、身体活動レベルⅡの場合=1.75、身体活動レベルⅢの場合=2.0

自分の基礎代謝量を測定して計算式に当てはめると、より正確に計算することが可能です。最近は、体重計に基礎代謝量を測定する機能が付いているものが多いので、簡単に基礎代謝量を測定することもできるので、試してみては。

たんぱく質、脂質、炭水化物のエネルギー比に注目

カロリーの基準値には、カロリーの総量だけでなく、摂取したい三大栄養素の割合も決められています。その割合は、重量(g)ではなくカロリー比で決められます。

たんぱく質の摂取量と注意点

たんぱく質は、20種類以上のアミノ酸が結合してできる物質で、体内では筋肉や皮膚などをつくるる要素として重要な働きをしています。

その基準値は、推奨量として30歳男性であれば60g/日、女性であれば50g/日の摂取が望ましいとされています。推奨量以外には、1日あたりのカロリーをたんぱく質から13%から20%とりましょうという目標量も定められています。

たんぱく質は、不足すると脳卒中のリスクが高まり、とりすぎると腎疾患や肥満等の原因となる危険性があります。1日あたりのカロリーをたんぱく質から13%から20%にしていれば、不足・過剰することはないと考えられています。

良質なたんぱく質を表すアミノ酸スコア

必須アミノ酸(不可欠アミノ酸)という言葉を聞いたことがありますか?

たんぱく質は、アミノ酸の集まりで構成されていますが、アミノ酸のバランスは食品によって異なります。そのバランスは、「アミノ酸スコア」で表されます。

アミノ酸スコアは100に近ければ近いほどバランスが良いといえる数字です。例えばアミノ酸スコアの良い食品には、卵、大豆、牛乳、牛肉、豚肉などがあります。

たんぱく質不足にならないポイント

たんぱく質不足にならないためには、1回の食事につきたんぱく質源が1つ以上あるよう心がけてみましょう。例えば、朝食にゆで卵を食べる、昼や夜には肉料理や魚料理を取り入れるなどです。

脂質の摂取量と注意点

脂質は1gあたり9kcalと、最も効率よくエネルギーをつくりだす栄養素です。悪いイメージがついている脂質ですが、細胞を構成する要素として必須であったり、脂溶性ビタミンの吸収に欠かせない役割をしていたりと、体にとって重要な栄養素の1つです。

脂質には目標量が決められており、1歳から全ての年齢層において、エネルギー比で20%から30%を脂質から摂ることが決められています。

一般的に脂質は、食事由来のたんぱく質(魚や肉など)が十分に足りていれば不足することはないと考えられています。

食事性コレステロールと血中コレステロールの関係

2015年版の食事摂取基準では、コレステロールの摂取量についての規定がなくなりました。

コレステロールには、食事から摂取されるものと体内で合成されるものがあります。食事からとるコレステロールが体内のコレステロールに及ぼす影響は個人差が大きく、体内で作られるコレステロールの1/3ほどの量にしかならないと判明したためです。

かつては「コレステロールが高くなるから玉子は1日1個まで」というような情報も流れましたが、その影響で食事制限をする高齢者が多く、高齢者の低栄養リスクを上昇させてしまっていることが注意喚起されているほどです。

とはいいつつ「いくらでも摂取してもいい」というわけではありません。気になるかたは医師や管理栄養士など専門家の指導のもと、食事をコントロールしましょう。

炭水化物の摂取量と注意点

炭水化物は、糖質と食物繊維から構成される栄養素です。そのうち、エネルギーに変換されるのは糖質の部分です。

炭水化物の摂取量と「糖質」

炭水化物の目標量は、1歳以上の全ての年齢層において、エネルギー比で50~65%と定められています。

糖質制限ダイエットの流行とともに、過剰な糖質制限が行われがちですが、脳は主にブドウ糖しかエネルギーに変換することができないと言われています。糖質を抜きすぎると頭がぼーっとしてしまうのは、このためです。基礎代謝量の20%ほどは脳が消費するとされているため、仮に基礎代謝量1,500kcalの人であれば、1日あたり300kcal/日は脳で消費することになります。

エネルギーに変換されない「食物繊維」

食物繊維の目標量は、30歳の男性で20g/日以上、女性で18g/日以上と定められています。

食物繊維は、便秘との関連がよく注目されがちですが、心筋梗塞や脳卒中等とも関連がある栄養素です。1日あたり食物繊維を24g/日以上摂取すれば、心筋梗塞による死亡率が低下することも分かっています。

食物繊維不足に陥らないための食生活のポイントは、やはり十分な野菜を食べることです。生野菜はかさが大きく、たくさん食べにくいので、茹でたり炒めたりして、たくさんの野菜をとれるようにしましょう。朝には野菜サラダ、昼夕には副菜(小鉢)となるおかずを2品以上食べることが理想的とされています。

栄養バランスをととのえるために

今回は、エネルギーに変換できる三大栄養素の摂取基準と考え方について解説しました。栄養に配慮した食事をつくるには、3つの栄養素だけでもこれだけのことを考えねばなりません。

意味を掘り下げると難しそうに見えますが、「一汁三菜」の食生活をしていれば、三大栄養素を満たすことができるケースは非常に多いです。たんぱく質源があること、野菜をとれるおかずがあること。このふたつに気をつけるだけでも変わります。まずはここから始めてみましょう。

参考:http://www.jfrl.or.jp/jfrlnews/files/news_no46.pdf
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000041824.html

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執筆者:きただ なお(管理栄養士)
大学卒業後、管理栄養士として病院や福祉施設での栄養管理、給食管理の仕事に従事。現在は高齢者施設にて栄養管理および、質の良い食事サービスを目指してメニューの作成や調理員の指導を行っている。