炭水化物は肥満の原因になるから、と抵抗感を持っている方も多いのではないでしょうか?実は同じ炭水化物でも、血糖値が上がりにくく肥満になりにくい炭水化物と、そうでない炭水化物があります。
GI値とは
血糖値を上げてしまう炭水化物と、上がりにくい炭水化物
食後の血糖値の上昇度合いを示すGI(グリセミック・インデックス)値が、その指標として使われています。
糖質は消化されるとグルコースになり、体に吸収されます。そのスピードを食品ごとに比較、ランク分けしたのがGI値です。もっとも速く血糖値が上がるグルコースの100を最大値として、その相対評価として示されています。GI値が70以上の食品を高GI食品、GI値56~59を中GI食品、GI値55以下を低GI食品と分類しています。
高GIの炭水化物は食後急激に血糖値を上げてしまうので、からだ
への負担が大きく、肥満の原因になります。一方GIが低い炭水化物は血糖値の上昇が緩やかなので、からだへの負担も少なく、太りにくいのです。
食後の高血糖のデメリットは、太りやすいだけでなく、「糖化」を引き起こしてからだを老化させます。糖化とは、エネルギーとして消費しきれず余った糖がからだ
のたんぱく質に結びついて、筋肉や肌を劣化させることです。
GI値の考え方は世界的にも注目されており、減量期に体重管理したい場合や、筋肉の怪我の予防を目的としてトップアスリートのマネージメントにも利用されています。
低GI食品とはどのような食品なのか?
炭水化物はそれぞれ糖として吸収されるスピードの違いにより高~中~低GI食品に分類されています。各GI食品にどのような食品があるのか見てみましょう。
【高GI食品】
せんべい・・・91
白米の粥・・・81
白米・・・76
【中GI食品】
白パン・・・65
パスタ・・・65
玄米・・・62
うどん・・・62
全粒粉パスタ・・・58
【低GI食品】
全粒粉パン・・・52
そば・・・46
全粒粉ライ麦パン・・・41
GIが高い順にみていくと、白米や小麦粉などの精製した穀物を使用した食品が上位にランクインしています。一方、未精製の全粒粉を使ったものやそば等はGI値が低いのが特徴です。GI値は調理法や他の食品との食べ合わせによっても変わってきます。白米もやわらかい粥にすることで吸収スピードが上がり、よりGI値は高くなります。
パスタは小麦の加工品ですが、歯ごたえの残る固ゆでで食べることが多いので、GIは低めです。またパスタに主に使われるデュラムセモリナ粉は、普通の小麦粉よりGIが低いことも、理由のひとつです。各GIは油脂類と一緒に食べることで消化が遅くなり、GIはさらに低くなります。
高GI食品で太るメカニズム
同じ炭水化物でも、高GI食品を食べるとなぜ太りやすいのでしょうか?
精製済の炭水化物は、消化器官での消化のスピードが速く、瞬時に糖に分解されて体内に吸収される
↓
一度にたくさんの糖が血液に入り、血糖値が急上昇する
↓
血液中に糖が過剰にある状態となり、酸化ストレスを増やして血管壁を傷つける
同時にからだを糖化(※)させ、老化や病気の原因となる
(※)エネルギーとして消費しきれず余った糖がからだのたんぱく質に結びついて、筋肉や肌を劣化させること
↓
この高血糖状態を回避するために、すい臓からインスリンが大量に分泌される
↓
インスリンは脂肪の燃焼をストップさせるとともに、脂肪を蓄える作用があるため、体脂肪がつきやすくなる
こういうメカニズムになっています。ですのでからだのプロポーションが気になる方は、炭水化物を摂取する場合、GI値の低い食品を選択すると良いでしょう。
低GI食品を摂るメリット
01. 同じ炭水化物でも太りにくい
そばや全粒粉を用いた食品は、炭水化物の中でも血糖値を上げにくい低GI食品です。これら未精製の食品は、消化・分解に時間がかかり、少しずつ糖として吸収されます。そのため急激な高血糖になりにくく、インスリン分泌も起こりにくいためからだに体脂肪が付きにくいのです。
02. からだに優しく、食後の眠気も起きにくい
高GI食品や大量の炭水化物を食べたときには、食後に血糖値が急上昇するのですが、この急激な血糖刺激は網膜をはじめ全身の毛細血管を傷つけます。さらにその後に大量に分泌されるインスリンが、血糖値の急降下を引き起こし、倦怠感や強い眠気を引き起こします。ランチタイムにパンや甘いものを食べた後に頭がぼーっとするのは、この血糖の上昇~降下の急変動によるものなのです。
炭水化物を摂るときには、よりGI値の低いものを選ぶと、太りにくいだけでなく、からだに優しく、食後の眠気も起きにくいという嬉しいメリットがあります。
GI値を知って、からだに優しい食事を
今回はからだに負担をかけず、太りにくい炭水化物の摂り方についてGI値の観点からお伝えしました。しなやかで美しいからだは、日々の食事で形作られます。炭水化物を摂る時にGI値を意識して賢く摂取すれば、しっかり食べながら健康なからだを維持することができるでしょう。
一方で、まだ消化機能が整っていない子どもや持病のある方にとっては、消化しやすいものの方が良い場合もありますので、目的に応じて低GI食品を取り入れてみましょう。
参照:The University of Sydney Glycemic Index database
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執筆者:榎本 蒼子(医学博士)
2011~2015年 京都府立医科大学にて助教を勤め、医学研究に従事。脳科学・神経科学が専門で、主な研究テーマは「食事による健康・美容への影響」「女性ホルモンと食欲」「脳の摂食コントロール」など。
*栄養素等表示基準値に基づき、脂質・飽和脂肪酸・n-6系脂肪酸・炭水化物・ナトリウム・熱量を除いて、すべての栄養素で1日分の基準値の1/3以上を含む。