定期購入者インタビューは、ベースパスタを愛用されている方に話をうかがい、それぞれの生き方に沿った食生活をちょっぴり覗かせてもらおう、という企画です。
今回のゲストは、プロのサッカー選手であるこの方です!
SNSやブログを使って、自身の考えを積極的に発信されている井筒さん。まだSNSには書いていない普段の食生活から、プロになるまでの話、いま取り組まれているコミュニティづくりのことなど、気になることをうかがってきました。
サッカーに真剣になればなるほど、おざなりになってしまう食生活
ワタシ(ライター) 今日はよろしくお願いします。
井筒さん お願いします!
ワタシ 聞きたいことはたくさんあるのですが……まず、井筒さんが普段どんな食事をとられているか気になります。Jリーガーって、どんな食生活をしているんですか?
井筒さん そうですね。J1(プロサッカーの1部リーグ)だと、だいたいクラブハウスに食堂が併設されていて、専門家が管理した食事をとることが多いと思います。J2以下のクラブでは、ほとんど食事は自己管理です。僕も毎日、朝晩は自炊(昼は練習後に外食)しています。
ワタシ では、栄養についてかなり知識があるんじゃないですか?
井筒さん うーん……。実際のところ、そうでもありません。気をつけているのは、油物を摂りすぎない、ジャンクフードやコンビニ食もできるだけ食べないようにする、主食は色のあるものを選ぶ、くらいでしょうか。ご飯だったら玄米、パンだったらライ麦パン、パスタはベースパスタ、うどんか蕎麦で迷ったら蕎麦(でもうどんが好き)、とか。
ワタシ 同年齢のなかでは気を使っているほうだと思いますが、たしかにグラム単位でたんぱく質の摂取量などを調整しているようなアスリートと比べると、そこまでストイックじゃないのかもしれませんね。
井筒さん もちろん選手のなかには、ストイックな食生活を送っている人もいます。そもそもなにか突き詰める能力だったり凝り性な面があるからプロになれているはずなので、食事もそこに知的好奇心が湧けば、とことんこだわると思うんですよね。だけど、割合的にはそう多くないです。っていうのも……
ワタシ って言うのも?
井筒さん これは僕の持論なんですが、サッカーっていう競技は要素が多いんです。
チームメイトや監督・コーチとの関係性、相手との相性、自分のポジショニング……挙げたらキリがないくらい気にすべきことがあります。そうすると、つい自分のコンディション面はないがしろにしがちなんですよね。質の良い食事をすれば、次の試合ですぐに成果がでるってことはなかなか考えにくいじゃないですか。
ワタシ たしかに。食生活が乱れて体調を崩すってことはあるかもしれないけど、良い食事をしたからパフォーマンスが上がるって結びつきにくいですね。実感するまでに時差があるというか。
井筒さん たとえば、熱心に食事改善して身体が万全な状態でも、味方のミスで負けちゃうことがある。だったら、ちょっとでも上達がみえる可能性の高い練習法を研究したほうがいいかもなって。そうやって、つい食事面はおざなりになるんですよね。
ワタシ はあ! なるほど。
正解はない、自分に合った食べ方を試行錯誤すべし
井筒さん サッカーをやっていると、考えることがたくさんあるんです。悩みもたくさん(笑)。だったら食事くらいおいしいものを食べたいっていうのが本音なんですよ。あと、僕の場合、体重が落ちやすくてほっとくとどんどん痩せちゃうので、いつもとにかく量を食べないといけなくて。
ワタシ どれくらい食べないと痩せちゃうんですか?
井筒さん 毎食、腹一二分目です。
ワタシ それはつらいな……
井筒さん 今日の朝食も、普通のパン屋さんで2000円弱かかりました。お腹もきついし、お金もかかります。
ワタシ 今日は、アスリートを目指す方に向けた食生活のアドバイスも聞こうと思ったのですが、このままだと「とにかく腹いっぱい食え」になっちゃいそうな……
井筒さん いや、これはあくまで僕の場合です。どういう食事をとればパフォーマンスが上がるのか、それぞれみんなあると思うんで。たくさん食べた方がいい人もいれば、食べない方がいい人もいる、練習の何時間前に食べると動きやすいかとか、それはボリュームのあるものなのか、あっさりしたものなのか、とか。
大事なのは、自分に合った食事を見つけるために試行錯誤することだと思っていて。僕は朝食のタイミングを、1週間ごとに変えているんですよ。
ワタシ へえー!
井筒さん それでどの週が一番走りやすかったかな、って見ていて。メニューも色々試しました。どんな食事をとるべきみたいなアドバイスって一概には言えなくて、みんなそれぞれ自分で正解を見つけた方がいいだろうな、という結論ですね。試す価値はあると思います。
ワタシ ちなみに、今の井筒さんのベストな朝のルーティンはどんな感じでしょう?
井筒さん 練習が10時半からなので、6時前ぐらいに起きてます。練習前ギリギリに起きると、食べたくないし量も食べれないんですよ。さっき言ったように僕はたくさん食べないといけないので。なので早起きして、本を読んだりしながら食欲が出るまで待って、玄米・納豆・めかぶ・魚をがっつり食べて、ちょっとお腹を落ち着かせてから練習に行きます。
ワタシ それは色々試して編み出したわけですね。
「味噌汁とベースパスタは同じような存在」
ワタシ ベースパスタは、最初どこで知ったんですか?
井筒さん どこだったかなあ……。たしか、SNSで回ってきたベースパスタの記事を読んで知りました。もともとミニマリストに興味があって、家にあるものもできるだけ断捨離していたところで、「完全栄養食」っていう言葉にビビッときちゃって。
ワタシ 食事もミニマルにしようと。
井筒さん 洗い物も買い物もめんどくさいし、できればやりたくないじゃないですか。とりあえず調べて注文してみて、自分に合っていると思ったので定期購入しています。市販のソースをかけてもいいし、玄米の代わりに、ベースパスタを茹でて、納豆・めかぶ・岩塩をかけて食べることもあります。晩飯を一式作って、一品足りないなってときにも食べたり。
ワタシ 「一品足りないな」でベースパスタなんですね!(笑)
井筒さん (笑)。なんか栄養足りなそうだなってときに。ベースパスタのいいところは、なんでも合うところだと思います。味噌汁とベースパスタは同じような存在ですよね。
ワタシ どういうことですか?
井筒さん 味噌汁もどんな具材を投入してもだいたい形になる料理じゃないですか。僕が大好きで繰り返し読んでいる土井善晴さんの本があるんですけど、そこにも味噌汁の柔軟性について書かれていました。
僕はこれを読んで味噌汁はいろんな具材を入れて試しているんですけど、ベースパスタもそれに近いものを感じています。何をかけてもおいしく食べられる。余ったおかずがあったら、とりあえずベースパスタにかけちゃうみたいな。
ワタシ ふむふむ。
井筒さん 栄養素については僕は専門家じゃないので難しいことは分からないですが、とにかく楽、という面では僕は回し者のようにベースパスタを推せますね(笑)。僕らが一番葛藤する部分って、「めんどくさいけど変なものは食べられない」ところなんです。
ワタシ はい。
井筒さん たとえば、大学生がテスト前日に徹夜で勉強するみたいなシーンあるじゃないですか? 小腹が空いて、カップラーメンとレッドブルで乗り越えるやつ。
ワタシ すんごくやってました。なんなら今でもやってます(28才)。
井筒さん 僕は大学生のときももちろんサッカーをしていましたが、徹夜しないといけない局面でも、それは無しなんですよね。僕だけでなく、多分アスリートにとっては。カップラーメン・スナック菓子、『安くて早くておいしくてお腹いっぱいになるもの』は極力避けて通らないといけない。葛藤した挙句、欲望に負けて食べちゃったとき、本当に後悔するんです。
ワタシ そうですよね……
井筒さん めんどくさいけど作らなきゃ、とか、めんどくさいから食べちゃったとか、どっちに転んでもストレスです。そこを手軽に、体に良いとされているものを食べられる、もうこれだけでめちゃくちゃソリューションだなと。だから、ありがとうございます(同席したベースフードメンバーに向けて)。
白川(ベースフードメンバー) いえ、ありがとうございます!
「食生活の変数を固定する」という考え方
ワタシ 自分に合った食生活を探すことの大切さはわかりましたが、試行錯誤したうえで、どのようになるのが理想的だと思いますか?
井筒さん 栄養って「+α(プラスアルファ)」の考え方もあると思うんですよ。いまは持久力をつけたいからこういう栄養素を補おうとか、体重を増やしたいから総kcal数を増やそうとか、改善したい部分があって食事内容を組むみたいな。でもそれって、専門性が高くて難しいアプローチだなと思っていて。
ワタシ はい。
井筒さん もう一方で、「土台」という考え方があります。食生活の変数を固定する、というか。自分のパフォーマンスの出来が上下したときに、その原因を導き出さないと、同じことを繰り返してしまったり、再現性がなくなったりするじゃないですか。
食事・睡眠時間・練習内容・人間関係、要素がたくさんあると、「なんで調子がいいんだろう?」って考えても、「あ、食事を変えたからだ」とか「練習メニューを変えたからだ」ってここの論理が作れませんよね。
ワタシ たしかに。ちょっともったいない気がします。
井筒さん だから毎日同じものを食べたり、食べる時間を決めたり、食事のルーティンだけでも極力シンプルにしておく。身体のコンディションのバラつきが減ると、何かあったときにフィードバックしやすいんです。それが僕の中では、食生活の変数を固定するってことですね。
それがベースパスタみたいな簡単にとれるものであればなお良しですけど、そうじゃなくても、自分が続く範囲で合うものを食べればいいと思います。いま僕もチャレンジしているところです。
ワタシ それ、アスリートじゃなくても応用できそうですね!
サッカー選手になるまで
ワタシ ところで、井筒さんってどんな経緯でプロのサッカー選手になられたんですか?
井筒さん 幼いころは、運動神経が悪くて。身体も弱かったんです。それで両親から「何かスポーツでもやったほうがいいんじゃない?」と勧められたのがきっかけで、サッカーを始めました。ただまあ、そんな感じで始めちゃったので、中学くらいには辞めたいと思っていました。
ワタシ なんと。
井筒さん 高校、大学と、新しいステージごとに続けようか辞めようか悩むみたいな(笑)。だからこそ、僕とサッカーとの距離感はずっとあって、熱中していたというより、常にちょっと俯瞰して見ている部分があったんですよね。
大学ではキャプテンをしていたのもあり、個人のパフォーマンスより、チームをどう勝利に繋げていくかに興味がありました。どうやったらチームが評価されるのか、試行錯誤を重ねるうちにチームが日本一になって。その経験があるので、プロになっても“場づくり”への興味は変わらず、今年の夏にはオンラインのコミュニティをつくりました。
「サッカー人生を豊かにするため」につくった、現役Jリーガーのコミュニティ
ワタシ オンライン……? 具体的にどんなことをするコミュニティなんですか?
井筒さん サッカーをもっと色んな可能性を軸にやりたいなと思ってるんです。僕自身、サッカーでつまづいたとき、プライベートの時間を使って会いたい人に会いに行き、たくさんの気づきを貰ってサッカーに落とし込んできました。同じサッカー選手だけでなく、他のアスリートや実業家にも、SNSを駆使して連絡して、どんどん会って。
ワタシ 井筒さんは、Twitterやブログをかなり積極的に使われていますよね。
井筒さん 好きなんですよね。これまではサッカー選手としての発信は個人でやってきましたが、同じ志で学びあえるJリーガーでコミュニティーを作れば、もっと良いものになるだろうと。
まだ構想段階ですが、すでにメンバーとオンラインでやりとりをしながら、これからのことを話し合っています。オンラインサロンのような形か、オフラインで座談会をやっても面白そうだね! とか。
ワタシ アスリートの生活はわたしには想像つかないですが、普段は自分のスキルアップに向けて黙々と取り組む感じなんでしょうか。あまり「みんなで」っていう雰囲気ではない?
井筒さん そうですね。自分の競技にフォーカスして鍛える人が多いと思います。でもそれだけでは、頭打ちになる瞬間がどうしてもあるんですよね。
ワタシ ああ、問題にぶつかると、そればかり考えて深みにハマっちゃうってあるあるです……
井筒さん 僕たちの固定された練習時間は、1日2時間なんです。毎日練習があるので、翌日のコンディションにムラができないようにすると、1日の練習量は限られていて。
とすると、残りの22時間、もっと広い意味でサッカーができるはず。たとえば、本を読む、人と会う、栄養や身体について勉強する、コミュニケーションについて学んでみる。そしてそれをサッカーに還元する。そういうことをしている人って今はあまりいないので、みんなで試していく場にしたいんですよね。
ワタシ 目的は、あくまでサッカーだと。
井筒さん はい。現役のJリーガーという肩書きを持っているので、まずは自分のサッカーやチームに集中して、そこでパフォーマンスを上げるのが大前提です。セカンドキャリアのためにやってますとか、ビジネスのためにやってますとかってなると、少なからず世間の批判もあるだろうし、自分の中でも今と未来が矛盾しちゃうと思うので。
そうじゃなく、本当に目の前のサッカー人生を良くするために集まってます、と。そこで学んだことをみんなで共有し、サッカー業界を少しでももっと面白くできるような動きができたらいいですね。
ワタシ すごくおもしろそうですね。そういう外の取り組みを選手以外が知れるのもまた、エンターテイメント性がありそうです。
井筒さん まだオンラインという部分で手こずっていますが、たくさん発信していこうと思っています。
ワタシ 楽しみにしています! 井筒さん、今日はありがとうございました!
「俺の味噌汁論を聞いても、多分あんまり……(サポーターの方は喜んでくれないかも)」と、謙虚な井筒さん。
「食についての発信はこれまであまりしてこなかったんですが、SNSでも聞かれることが多いです。どこかでまとめて話せればなと思っていたので、こういう機会ができてうれしいです」
フィジカルな世界で活躍しながらも、ロジカルな考え方を持ち、コミカルなわたしは大変たすカル、みたいなそういうインタビューでございました。井筒さん、ありがとうございました!