セーリングは、海上という自然の変化に対応しながら、レースで順位を競うとても戦略的なスポーツです。幼少期にヨットと出会い、セーリングの魅力にハマった冨部 柚三子さんは、小柄というスポーツ特性上の不利にも負けず、世界を相手に活躍しつづけています。
過酷なレースを戦い抜くために、彼女は何をしているのか。冨部さんを支えるトレーニングや食生活を聞きました。
小学生のレース優勝から始まった、セーリング選手の生活
ー冨部さんはいつセーリングと出会ったんですか?
冨部さん 父がひとり乗り用の小型ヨットを持っていて、家族で週末に必ず海へ行っていたんです。私も父のヨット仲間と一緒に、よく乗せてもらっていました。物心ついた頃には「ひとりでもやってみたい!」と思うようになって、子供向けのヨット教室に通うようになったんです。
その教室では、年1回ジュニア向けの全国大会のレースを主催していました。小学校4、5年生ころから出場していましたが、あくまで遊びの一環という意識だったんですね。ですが小さい頃から乗っていたこともあって、小学生の部で優勝したんです。そこから勝てる楽しみを知り、一気に火がつきました。
ーすごい!そこから競技者としてセーリングに接していったんですね。セーリングについて、どんなスポーツか詳しく教えてください。
冨部さん セーリングで使用するヨットは、大小さまざまな種類があります。私が小さい頃に乗っていたのは、ミニホッパーというヨットです。私は現在「レーザーラジアル」というヨットに乗っていて、もう10年以上このカテゴリーで戦っています。
セーリングは海上で行うレースですが、運営側が大会当日の風の強さやヨットのカテゴリーに応じて、海の上にマークと呼ばれるブイを置くんです。それを目印に、決められたコースを走ることとなります。
ー当日コースが決まるんですね。
冨部さん そうです。そのため、私たちは当日の天気やコース周辺の地形をチェックして、その日どう走るかという戦略を立てます。たとえば「今日のコースの右側に陸地があるから、反対側から風が入るな」とか、「潮の流れが早いから、ヨットが流されないようにしよう」とか。
あるときは自分ひとりで、またあるときはコーチからの情報を通して、自然を読んで戦略を練らないといけません。
ーレースを走る前の事前準備がとても大切なんですね。
戦略・体力・身長…。セーリング選手に求められる能力
冨部さん あと、セーリングには身体全体でヨットのバランス調整をするのも欠かせません。ヨットってぱっと見た感じだと、優雅に乗っているイメージですよね。確かに風が弱いときは、ただ乗っていても勝手に進みます。
しかし、風が強いとヨットが倒れてしまうので、身体で帆の角度を調整しないといけません。たとえば、この写真を見てください。上半身がほぼ水平まで倒れているでしょう?
ーほんとうだ!ものすごい角度まで倒れていますね…。
冨部さん これ、別に上からワイヤーとかで身体を支えているわけでもないので、腹筋をはじめとした筋力で、バランスを取らないといけないのが大変なんです(笑)。
それに加えて、私は身長が156cmしかありません。基本的に、ハイクアウトでは身長が高いほど、テコの原理でヨットを支えやすくなります。海外だと、170cm〜180cmある女性は珍しくありません。体重も多い方がヨットを支えやすいので、70kgくらい選手が多いです。
2020年の世界選手権では、私が一番小さかったですね。
ー身長が高く、かつ体重がある方が有利なんですね。
冨部さん 風が弱いときは体重があるとヨットが沈みやすいので、軽量にもメリットがないわけではありません。そのため、試合会場によって身体づくりの準備はかなり変わります。
たとえば2020年の世界選手権は、オーストラリア南部のメルボルンで開催されました。現地は南側には南極大陸があるので、すごく海水が冷たいです。けれどオーストラリア中央部は砂漠地帯でとても熱いので、温度差でものすごい強風が吹き荒れます。
そのため、風で負けないようにがんばって体重も増やしました。
ー大会内容によって、体重を増やしたり減らしたりするんですね。
冨部さん 国内大会では60kg前後、世界大会では65kgくらいに調整しますが、なるべく60kgを切らないようにしています。最大で68kgまで増やしたこともありましたが、全然身体が動かなくて…。トレーニングでちゃんと動ける身体を作れるようにしないとなって、そのとき痛感しました。
セーリングは1レースがだいたい1時間で、基本は2レース、多い時で3回走ります。1レースのうち、ハイクアウトの姿勢になることが2回必ずあり、どちらも15分くらいこの姿勢を維持しなくてはいけません。
今もいろいろなアプローチをしつつ、動ける身体づくりと体重を減らしすぎないための食事管理をしています。
ハードなレースを耐え抜く、強い身体づくり
ーこの姿勢を15分間、しかも何度もやらないといけないんですか。すごくハードですね…。身体づくりのために、普段はどんなトレーニングをしているんですか?
冨部さん 競争相手がいないと自分のパフォーマンスを正確に評価できないので、海外によく出ています。国内で戦える選手も少ないので。そういうときは1日2時間くらいジムでトレーニングをして、海上で3〜4時間練習します。
今はコロナ禍で海外に行けないので、体幹トレーニングや心肺機能を高めるトレーニングをアホみたいにしています(笑)。セーリングは1日で2、3レースすると話しましたが、実はそれを合計6日間行なうんです。
ーえ、6日間も!?
冨部さん 当日の天気や風で、身体へのダメージも変わります。大会本番で疲れにくい身体、大会後すぐに疲れを回復できる身体を、今作っている感じですね。
心肺機能のトレーニングでは、とにかく息が切れるペースを数分間、何度も繰り返します。ちなみに今日は、すこしゆっくりのペースで2時間こぐ日だったので、映画を見ながらやっていましたね。
ーいくらゆっくりペースでも、2時間はすごいなあ。
冨部さん 実は私、膝の前十字靭帯の損傷や肩の脱臼グセで、人生で3回手術をしているんです。身体の使い方悪かったところに、ハードなトレーニングや試合で負担をかけてしまって。
その経験から、本当にとにかく追い込めばいいわけじゃない、身体作りはすごく大事なことなんだと思い知りました。それ以来、かなり念入りにトレーニングをするようにしています。
管理栄養士の目線で感じた、BASE FOOD®のメリット
ー食事では、何か気をつけていることはありますか?
冨部さん 栄養には昔からすごく興味があり、大学で食物学科を専攻して管理栄養士の免許を取得しました。食事は身体を変える大切な行為です。前十字靭帯を痛めたときは、1年間、毎日の栄養をちゃんと計算して食生活を送ってみました。
68kgまで増やしたときの失敗談を教訓に、ただ脂肪という重りをつけるだけじゃなく、筋肉を増やすための食事を意識しました。最初のうちはとにかく脂質を削ったんですが、相対的に糖質のエネルギー全体の比率があがって、あまり体脂肪が落ちきらなかったんです。
そこで、たんぱく質の摂取量を相対的に増やしたら、結果として除脂肪体重が増えました。やっぱりたんぱく質は大切だなと痛感しました。
今は運動しつつ体重を増やさないといけないわけですが、年齢を重ねるにつれて、1回で食べられる量が限られてきて…。そこで、朝昼晩の3食だけじゃなく、合間に軽食を織り交ぜて必要な栄養やエネルギーを摂取するようにしています。
ー必ず食べている食材や、好きなものはありますか?
冨部さん ベースフードさんの回し者ではないですが(笑)、糖質とたんぱく質を手軽に摂取できるという意味で、BASE BREAD®はかなり重宝しています。
以前はサラダチキンを食べていたんですが、糖質が不足したり味に飽きちゃったりすることが多かったです。その点、BASE BREAD®は味も豊富で栄養価も高いので、10時や15時に※補食として食べています。
※補食
必要な栄養やエネルギーを満たすために、通常の食事に加えて食事を摂ること
ーそうなんですね。BASE FOOD®はどこで知ったんですか?
ベースフードさんが、Facebookでモニターを募集していたのがきっかけです。ちょうど1年前くらいかな。たんぱく質って、手軽に摂取する手段があまりないんですよ。パンやパスタでたんぱく質を補えるのは、魅力的だと思いました。
あとはスポーツ選手として、ドーピング検査なども気にしていましたね。成分に漢方などが入っていたら、食べられないなって。でも、ちゃんと見たところどの成分も食品由来だったので、安心できましたね。
ー普段はどんな風にBASE FOOD®を食べていますか?
冨部さん BASE BREAD®はそのまま食べています。BASE PASTA®は味付けのしっかりした料理を作りますね。ボロネーゼソースとひき肉をそえて、冷凍パックしてお弁当にして持っていくこともありますよ。
あとへ手軽に、レトルトのイカスミソースとかを混ぜて、タッパーに入れてお弁当にすることもあります。本当はインスタ映えする写真をアップしたいんですが、キレイに見せるのは苦手で(笑)。
増量にもダイエットにも、BASE FOOD®は最適
ー冨部さんは、普段体重を増やすことが多いと思います。逆に、体重を減らしたい人にとって、BASE FOOD®はどんなメリットがあると思いますか?
冨部さん 体重を落とすには、エネルギーの消費量が摂取量を上回らないといけません。運動時間がない人は、食事でどうにかすることになるでしょう。
エネルギー摂取量をへらすため、おそらく脂質や糖質を削ることになると思いますが、シンプルに「ご飯を抜いておかずだけ食べる」みたいな生活は、続けるのが大変です。
その点、1品で必要なたんぱく質や栄養が摂取できて、脂質は少なめに、かつ必要最低限の糖質が入っているBASE FOOD®は、ダイエッターでも十分活用できると思います。
主食であり完全栄養食というコンセプトの商品は、なかなかありません。ダイエット中の食事は、基本的に「抜く」ことにフォーカスしがちです。たんぱく質もプロテインを飲んで補おうとしがちですが、それだと、どうしても物足りないと感じやすいですよね。
その点、BASE FOOD®は「満足感が得られる」+「栄養バランスがいい」の2つを満たしているのがいいところだと思います。
ーいっぱいほめていただいて、ありがとうございます。最後に冨部さんの今後の目標を聞かせてください。
冨部さん 2020年の世界選手権は、オリンピックの選考会も兼ねていました。セーリングは基本的に、どんなに強豪国でも1カ国1チームしか出ることができません。私は日本で2位だったので、代表には選ばれませんでした。
2021年にあるだろうオリンピックでは、補欠として出場選手を勝てるようにサポートしていきたいです。万が一、補欠の繰り上がりで出場しても大丈夫なように、しっかりトレーニングを積みたいと思います。
私は2020年で30歳になりますが、2024年のパリオリンピックに向けても準備をしていきたいです。トレーニングを重ねて、海外でも活躍できるようになりたいですね。
オーストラリアの世界選手権は、ちょうど2月10日に日本を出発して出場しました。コロナ禍で延期になったあと、4月からは大学院に進学してスポーツ心理学を学び、それとは別にコーチの勉強をしています。この1年はオリンピックの延期がとても残念でしたが、逆にそれがあったことで、さまざまなことに取り組めました。
その成果を、オリンピックにぶつけていきたいです。
ーすでに3年後に向けた準備が進んでいるんですね。ハードな競技生活を支えられるように、私たちもがんばります!