糖質制限しすぎはむしろ太る?糖質不足にひそむワナ

こんにちは。ニューロガストロノミー研究家の大嶋です。

最近は、炭水化物を含む食べ物を控える「糖質制限ダイエット」が話題ですね。糖質制限は、ごはんやパンなどをやめるだけなので、全ての食事を制限するダイエットよりも、気軽に取り組むことができます。

しかし、糖質制限も過剰に行うと、むしろ肥満につながってしまうことはご存知でしょうか。やせるために糖質を控えているのに、逆に太ってしまったら、本末転倒ですよね…。

ある程度の量の糖質は、人が健康的に生きていくためには欠かせません。糖質制限についての知識を深めて、健康的なダイエットに取り組みましょう!

もくじ

糖質は、摂りすぎも摂らなすぎもNG

糖質はダイエットの敵だとみなされがちですが、糖質は人が活動するために必要な成分です。

人の体をつくる細胞たちは、糖質の一種である「グルコース」という成分を使って、活動のためのエネルギーを作り出しています。グルコースの多くは、肝臓や筋肉の中で、グルコースが多数つながった状態の「グリコーゲン」として保管されています。エネルギー源が必要となったとき、グリコーゲンがグルコースに分解され、使える状態になります。筋肉のグルコースは筋肉自身を動かす時に、肝臓のグルコースは、血液を通じてグルコースが必要な場所に届けられて使われます。

ただ、グリコーゲンとして貯蔵しきれないほどグルコースがある場合は、脂肪となって脂肪細胞に蓄えられます。みなさんが恐れているのは、まさにこの、糖質が脂肪に変換されるという部分でしょう。

たしかにこれは事実で、糖質を摂りすぎると太ります。とはいえ、それは摂りすぎた場合の話です。摂りすぎも問題ですが、摂らなすぎも同じように問題なのです。

01. 糖質不足だと筋肉が落ちる

体は食べ物から得たグルコースをエネルギーにして動きますが、食べ物からグルコースを得られず、グリコーゲンもなくなった場合は、体の中のタンパク質を分解してグルコースを作り出します。

タンパク質にはさまざまな種類がありますが、どのタンパク質も、「アミノ酸」がつながってできています。人の細胞は、エネルギー源として使えるグルコースが不足した時には、タンパク質を分解してアミノ酸にし、アミノ酸からグルコースを作り出すことで、エネルギー源を確保できるようになっています。

タンパク質でできている体の組織の代表例といえば筋肉。必要最低限の糖質の不足は、筋肉を減少させてしまうことにもつながるのです。筋肉が落ちると、”グルコースを使ってくれる場所”が減ってしまうので、脂肪に変換される分のグルコースが増えてしまいます(いわゆる、”基礎代謝が落ちる”というやつですね)。

筋トレをしたり、プロテインを飲んだりしていても、糖質制限を過度にしていると、せっかくついた筋肉が分解されてしまったり、飲んだプロテインが筋肉に使われずエネルギー源として使われて終わってしまうこともありえます。これではせっかく心に鞭打ってジムに行きトレーニングに励んでも、効果が下がってしまいますね。

糖質制限食と脂肪制限食の効果を比較したとある研究では、糖質制限食では、数日の間は脂肪を燃焼する割合が増えていくものの、すぐに頭打ちとなってしまうことが分かりました。体重減少の効果は見られたものの、脂肪はあまり減少せず、タンパク質が分解されたことのほうが主な要因だったようです。

糖質制限で体重が減っているからといって、脂肪が減っているとは限らないということですね。ダイエットに取り組むときは、体を構成する成分の割合を意識するのも大切です。

02. 食物繊維も不足してしまう

糖質制限をする時には、ご飯やパンの量を減らすというより、完全に抜くというやり方をとる人もいるかと思います。

しかしこれでは、糖質制限といいつつも、実際には「炭水化物制限」をしてしまっていることになります。炭水化物とは、糖質と食物繊維を合わせた言葉です。糖質を控えるために主食を抜いてしまうことで、同時に食物繊維の摂取も控えてしまっているのです。

食物繊維には、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維があります。不溶性食物繊維は水を含んで膨れるので、便通を改善する効果があります。そのため不溶性食物繊維が不足すると、便秘につながる可能性があります。水溶性食物繊維は、腸内で水を含んでネバネバし、糖質や脂質を包み込んで、小腸からの吸収を抑えてくれるはたらきがあります。水溶性食物繊維が不足すると、糖質や脂肪分をむしろ吸収しやすい体になってしまう可能性があります。

最近は、腸内にすむ腸内細菌が人の健康と密接に関わっていることが分かってきました。食物繊維は、腸内細菌のエサにもなるため、腸内環境を整える上でも大切な成分なのです。

03. 糖尿病予備軍になるリスクもある?

食物繊維が不足して、糖質や脂質の吸収が穏やかではなくなると、久しぶりに糖質を食べた時に、急激に血糖値が上がりやすくなります。

糖質に含まれるグルコースは、小腸から吸収されて血液中に含まれるようになります(こうして血糖値が上がります)。すると、すい臓からインスリンが分泌され、インスリンのはたらきによって、肝臓や筋肉がグルコースを取り込んだり、グルコースが脂肪となって脂肪細胞に蓄えられるようになります。

しかし急激に血糖値が上昇する状態が続くと、肝臓や筋肉でインスリンが効きにくくなり、グルコースを取り込みにくくなってきます。すると血糖値が下がらない高血糖状態となり、糖尿病の症状に近づいていく可能性があるのです。

また、筋肉が減って体内の脂肪の割合が高まると、脂肪細胞のはたらきによってインスリンが効きにくくなることも指摘されています。インスリンの効きが悪くなると、分泌されるインスリンの量が増え、脂肪細胞に蓄えられる脂肪の量が増え、肥満につながる可能性もあります。

他にも、糖質制限によって血糖値が低い状態が続くと、グルコースが脳に優先的に行き渡ることで、肝臓や筋肉がグルコースを取り込む能力が弱まるという報告もあります。食事から摂取したエネルギーの20%ほどは脳で使われるかつ、脳ではグルコースしかエネルギー源に使われないため、優先されるのです。これも、インスリンが出ているのに、グルコースを取り込めないという点で、インスリンが効きにくい状態を作っていることになります。

糖質制限は本来、医師の管理のもと、糖尿病患者の人を対象に行われる食事療法です。糖質制限の効果はまだ明らかになっていないことも多いとはいえ、自己流の過度な糖質制限は、体の中のエネルギー利用のしくみにむしろ悪影響を与えてしまう可能性も否定できないのです。

食物繊維が多い主食に置き換える

日本人の食事摂取基準では、糖質は1日に最低でも100g(お茶碗二杯程度)は必要とされているものの、推奨量などは決められていません。それよりも大切なのは、糖質・タンパク質・脂質のバランスだと考えられています。具体的には、糖質が50〜65%、タンパク質が13〜20%、脂質が20〜30%のような割合になることが理想的であるようです。

毎日のように丼ものや麺類を食べていると、どうしても糖質の割合が高まってしまいます。そのような場合には、すでに十分な量の糖質が摂れているので、1日1回糖質制限をしても問題がないかもしれません。ただ、糖質以外の栄養素が不足する可能性がありますので、糖質制限よりも食事のバランスを見直すことが先決かもしれません。

また小鉢付きの和食の定食など、バランスが良いとされる食事から糖質を抜いてしまうと、糖質が不足してしまう可能性があります。どうしても糖質制限したい場合は、食物繊維の多い主食に置き換えるのがおすすめです。たとえば、白米100gあたりの食物繊維量は0.5gなのに対し、玄米であればその6倍の3.0gとなります。同じお茶碗一杯の量だとしても、糖質の割合を下げながら、食物繊維の割合を高めることができますよ。

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もちろん、毎日栄養バランスの良い食事をとることは難しいので、まずは週単位や月単位でバランスがよくなるように調整していくなど、ハードルが低い状態からスタートするのが良いでしょう。

何事もやりすぎはよくありません。何かを過度に悪者扱いするよりは、適量とうまく付き合うことで、長い目で健康的な体を作っていくことにつながるでしょう!

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大嶋 絵理奈

ニューロガストロノミー研究家・サイエンスライター

2015年、東京大学大学院総合文化研究科修士課程ならびに科学技術インタープリター養成プログラム修了。専門は分子生物学、食品化学、認知心理学。食と科学のウェブメディア「Minamoca Lab.」を中心に各種ウェブメディアや雑誌で執筆を行う。「味を感じる器官は脳である」と考える“ニューロガストロノミー”に関心を注ぎ、五感や認知がおいしさに与える影響を探求している。

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