6歳からインラインスケートをはじめて、35年というキャリアを持つ戸取大樹さん。2007年には日本代表入りし、数々の海外レースを転戦するなど、グローバルに活躍しています。
最大速度が60km/hにも迫るスケートの世界。第一線で活躍し続ける戸取さんは、普段からどんな意識で身体づくりをしているのでしょうか?
キャリア35年。戸取さんとインラインスケートとの出会い
ー戸取さんはいつ、インラインスケートに出会ったんですか?
戸取さん 僕は4人兄弟の末っ子で、小さい頃は板橋区に住んでいたんですね。ちょうど3、4歳のときは1970年代のローラースケートのブームの終わり頃で、近所にまだローラースケート場がありました。僕を含め4人全員が初心者教室に通いましたが、3番目の兄と僕は、教室以降もローラースケートを続けました。
ーかなり小さい頃からの出会いだったんですね。
戸取さん はじめて競技として大会に出たのは、小学1年生のときの区民体育大会でした。小さい頃から滑っていたので、そこで1番を取れて。その成功体験が、30年以上も続いている感じですね。
小学校の卒業文集には「世界中をローラースケートで旅して、『ローラースケート男』と呼ばれたい」と書いていたんですが、それに近い形で活動できていますね(笑)。
ーそれはすごいなあ。インラインスケート競技は、どんな特徴があるんですか?
戸取さん 自転車競技やアイススケート競技と似ています。インラインスケートは「トラック競技」「ロード競技」の2種類があります。トラックは1周200mのトラックで、自転車のようにゆるいバンク(傾斜)があるんです。そこを最短で200m、最長で10,000m走ります。
ー10,000m!50周も走るってことですか。
戸取さん はい。とはいえ、50周も走るとだらけてしまうので、10,000mは「ポイントレース」と「エリミネーションレース」の2つに分けられます。ポイントレースは途中の周回ごとの順位でポイントがつき、最後のゴール順ではなく獲得したポイントで順位が決まります。エリミネーションレースは、一定の周回で鐘が鳴って後ろの選手がどんどん退場させられていきます。
そしてロードは、アスファルトの路面を走ります。トラックよりもテクニカルな路面で、1周走、100m、10,000mのポイントレース、そして15,000mのエリミネーションレースとに分けられますね。
あとは、マラソンと同じ42.195kmを、市街地で走るという種目があります。フルマラソンで有名な「ベルリン・マラソン」ってあるじゃないですか。インラインスケートでも、同じコースを前日に走るんですよ。
ーいろんな種目があるんですね。
フルマラソンが「スプリントレース」!?
ー戸取さんは、どの種目に参加しているんですか?
戸取さん 僕は国内だとトラック競技に出ていますが、実は苦手で主戦場はマラソンです。コロナ前はヨーロッパや中国など、海外のレースにもよく参加していました。
ーそうなんですね。海外の選手と戦うために、どんな能力が必要なんですか?
戸取さん 僕も含め、日本選手で圧倒的に不足するのが「スピード」です。フルマラソンの42kmって数字を見ると、すごく長く感じられますよね。ですが2015年のベルリンマラソンに記録された世界記録は、56分でした。
ー56分!?1時間切ってるじゃないですか。インラインスケートってそんなにスピードが出るんだ…。
戸取さん はい。そのため陸上競技の選手と違い、スプリンターがマラソンで勝つことも珍しくありません。むしろスピードが出せるということは、効率的に走れているという意味でもあります。スケートはタイヤが付いているので、トップスピードがあるほど、多少「流し」てもスピードが出ます。軽自動車とスポーツカーの差みたいなものですね。
インラインスケートだと、速いと時速60kmくらい出すことができるので。
ーなるほど。トップスピードを出すために、必要なことってなんですか?
戸取さん どれだけ正確な動きができるかです。無尽蔵なスタミナや筋力があっても、その力の使い方を間違えると意味がありません。仮に1回のストロークで5cm程度の誤差でも、フルマラソンだと数万回繰り返すので、42km走る間に合計何km分もの誤差になってしまいますからね。
タイヤと地面の接地角度が1°ずれるだけでも、身体全体の傾きもすごくなります。筋力・持久力を鍛えるのはもちろんですが、「進む方向の正確性」を身につける練習がかなり多いですね。
僕はYouTubeで動画もアップしていますが、あれは「正しい動きを身につければ、スケートって辛くないし走るよりも楽だよ」ってことを伝えたいんです。
ー普段も、筋トレとかはせずに技術練習が多いんですか?
戸取さん そうですね。スケート人生を振り返ると、ウェイトトレーニングをして体重・筋力量を増やしていた時期よりも、やっていない時期のほうが動きがよかったです。
だから今は、トレーニングのためにバーベルなどを扱うようなウエイトジムに通ってもいません。個人的には筋トレ好きなんですけどね、扱える重量が増えると成長も実感できるし(笑)。
お菓子づくりからはじまった自炊生活
ー食事で意識していることもあれば、ぜひ教えてください。
戸取さん 僕はあまり体重が増えないタイプで。そのためあまりムリはせず、体重は67〜68kgで常に一定にしています。もともと食生活はほぼ自炊で、脂っこいものや揚げ物は食べないんです。仕事で外食する以外は、基本的に朝晩は自炊しています。
ー何を作って食べるんですか?
戸取さん パスタ系は手軽で好きですね。自分でソースをつくることもあります。でもそこまで手のこんだものは作っていなくて、冷蔵庫の残り物を使っていろいろ作る感じです(笑)。
それでも、トマトやナスといった夏野菜は比較的よく食べますね。あと豚肉はたんぱく質を摂取できるし、ビタミンB1が豊富で疲労回復効果もあるので重宝します。
あと、僕はお菓子作りも好きなんですよ。自分が食べる用にクッキーとかを作っています。
ー甘いものも自分で作るんですね!
戸取さん 小さい頃から、家族には「家にあるものは使っていいよ」と言われていました。それなら、「自分でクッキーやお菓子を作ればいい!」と思い立ちまして(笑)。
その流れで、料理も覚えていきました。
食事がもろに身体に出るからこそわかる、BASE FOOD®の安心感
ーBASE FOOD®を知ったきっかけを教えてください。
戸取さん ちょうど1年前の2020年に、スケート仲間から教えてもらいました。そのときまで、「完全栄養食」というジャンルがあることすら知らなかったです。でも発想がすごく面白いなと思いました。
これまで栄養系の本もたくさん読んでいて、「この食材でこの栄養を摂って」と勉強していましたが、これを食べてあれを食べて…と考え出すとキリがなくて。しかしBASE FOOD®なら、とりあえずこれひとつで必要な栄養素を吸収できると、とても手軽に感じました。
最初に食べたのはBASE BREAD®でした。僕はもともとヨーロッパのちょっと硬めな茶色のパンが好きで。すんなり受け入れられて、「むしろいいじゃん」と思えました。
ーそうなんですね。BASE PASTA®はいかがですか?
戸取さん いろいろと試行錯誤しています。パスタ系はもともと好きなので、どんなソースと合わせようか、考えるのが楽しいです。BASE PASTA®は比較的香りが強いので、トマトベースの濃いめのソース系と合わせるのが鉄板ですね。
ーさきほど、ソースも手作りすると言っていましたね。トマトソースも自作ですか?
戸取さん そうです。トマトとオリーブオイル、塩をいれてミキサーにかけると、ちょっと白濁したトマトクリーム色になるうんです。トマト缶だとやや水気が多いので、フレッシュトマトを使います。オリーブオイルも塩も、ちょっと多めかなあ。
これは昔、イタリアンのシェフに教わったんですよ。煮込む時間がなくても、これを温めれば味も出るよって。
ーうわあ、おいしそう…。おなかすいちゃいました(笑)。
戸取さん 一人暮らしで自炊をしていると、注意しても好みが出てしまって、食材が偏りがちです。その分、栄養面は長年気になっていたんですよね。
それがBASE FOOD®だと、必要な栄養が全部入っているのですごく安心ですね。これが僕にとって、何よりうれしいところです。食の偏りを心配せずに済みますから。
年齢を重ねるにつれ、コンディションにおいて気をつけないといけない部分は増えていきます。このチェック機能を自分だけでやるのは難しいし、栄養士に毎日チェックしてもらえるわけじゃない。
それに、僕は慣れないものを食べると身体にものすごく反動が出るんです。この間久しぶりにポテトチップスを食べたら、翌日のパフォーマンスが体感で6割くらい落ちてしまいました。お酒も年に3、4回くらいしか飲まなくて。飲むときは次の日から1週間、何もない状態にするくらいです(笑)。
ーそれはなかなか激しい反応ですね。
戸取さん だからこそ、BASE FOOD®が与えてくれる精神的な安心感はすごくありがたいですね。それが影響しているのか分かりませんが、実はこの1年、35年の競技人生でパフォーマンスがベストなんですよ。トップスピードも35年で1番速いし、体力的にも増していると思います。
スケート未経験者と競技者の溝を埋めたい
―今が最盛期だなんて、とてもかっこいいですね。今後の目標はなんですか?
戸取さん 選手として上を目指すのは当然として、今1番の目標は国際大会でメダルを取ることですね。今は海外のレースが難しいですが、チャンスがあればどんどん出場したいです。
一方で、個人的には「やり尽くした」と思える感覚も持っています。この15年、多少生活を犠牲にしつつも出場できるレースには全て出場しました。なので、仮にこの状況が続いて大会に出場できなくなったとしても、「やり残してしまった」と思うことはありません。
だから今年は、大会に出るという以外に選手や一般の人に、スケートを楽しんでもらえる環境を作りたいなと思っています。
ーその目標も素敵ですね。
戸取さん 日本って、なかなかスケートがやりづらいじゃないですか。スケートを遊びとしてやったことのある人と競技をやる人の間の層が、すっぽり抜けているんです。それこそ5年前、10年前はこの2つがまったく隔絶されていました。
その溝を、少しでも埋めていきたいですね。
ー戸取さんの練習を見ていて、颯爽と走る姿がとても楽しそうだと思えました。僕もインラインスケート、公園とかでやってみようかな?
戸取さん ぜひ!