「ベースフード」が解決する世界の社会課題
世界をよりよくする目標が、17のテーマでまとめられたSDGs。新たに始めた全4回の連載では、ベースフードがどのような役割を担うことで、SDGsに貢献できるのかを紹介しています。
第1回である前回は、目標3「すべての人に健康と福祉を」で注目されているNCDs(非感染性疾患)が、先進国に住む私たちにも無関係ではないことを紹介しました。第2回である今回は、このNCDsと開発途上国との関係性と、そこにベースフードがどう貢献できるのかをお話ししていきたいと思います。
途上国のNCDsの現状
NCDsは不健康な食事、運動不足、過度の飲酒などで引き起こされる慢性疾患の総称です。一般的には、がんや糖尿病、循環器疾患、呼吸器疾患などが当てはまります。
WHO(世界保健機関)の発表では、毎年4,100万人がNCDsにより命を落としているとされています。この死者のうち、約77%(約3,140万人)が低・中所得国で発生しているのです。
先進国は多忙なライフスタイルや家庭環境の変化により、十分な栄養を確保する食事を用意する「時間の不足」が、NCDs拡大の原因となっています。一方、途上国では「経済的な事情」で、食事を確保できないことでNCDsが広がっているのです。
途上国の食事における2つの問題
途上国のNCDsはふたつの大きな課題を抱えていると言われています。ひとつ目は「飢餓」です。WFP(国際連合世界食糧計画)の2021年7月の発表によると、世界の飢餓人口は最大約8億1,100万人と推計されています。
十分な食料を確保できず、栄養も摂取エネルギーも不足してしまう飢餓は、途上国でとても深刻な問題です。
そして、もうひとつの問題は「肥満」です。このふたつは矛盾しているように見えて、どちらも同じ食料不足という状況によって引き起こされています。
栄養価の高い食材といえば、野菜や魚介類、肉類などでしょう。途上国ではこうした食材は手に入りにくく、代わりに安価で手に入るカロリーだけが高い食品が増えます。バランスの悪い食生活が、肥満へとつながってしまいます。
飢餓という深刻な問題が解決できたとしても、栄養補給という問題を、途上国はなかなかクリアできずにいるのです。
主食であり栄養が豊富なBASE FOOD®を「第3の選択肢」にする
健康に欠かせないタンパク質、ミネラルやビタミンは、野菜、魚介類、肉類による摂取が非常に重要です。しかし、途上国はこれらの食料を自給自足するのが難しく、経済的な理由から、これらを買って食べることもできないという状況にあります。
そこで私たちが考えていきたいのが、「主食をBASE FOOD®に置き換える」という新たな選択肢です。
BASE FOOD®は主食でありながら、全粒穀物と豆を主原料とし、豊富な栄養を含んでいます。多種多様な食材を用意するよりも、より安価に途上国の栄養不足問題を、解決する糸口になるのではないか。
今は研究開発の途上で、スケールメリットも小さいですが、将来的には途上国でも購入しやすい価格にできると思っています。それにより、日本の食と健康の貢献からスタートしたBASE FOOD®が、世界の健康にも貢献できると私たちは思うのです。
第3回では、食料問題と気候変動問題の意外な関係性と、そこにBASE FOOD®がどう貢献できるのかについてご説明いたします。