急成長を遂げるベースフードを支える「食品開発チーム」を徹底解剖!仕事内容やチームメンバーの魅力を聞きました

BASE BREAD®やBASE PASTA®など、ベースフードが販売する完全栄養の主食を開発する、食品開発チーム。ほんの1年前には5名程度だったのが、今では20名のメンバーを抱えるチームにまで成長しました。

現在の食品開発チームは、何をやっているのか。新旧メンバー2名に集まってもらい、仕事内容やチーム内での交流の様子を聞きました。

田沼 聡美(たぬま・さとみ)
学生時代は航空機、サメの研究と分野横断的に学び、総合商社へ入社。その後、fintechスタートアップに参画し、同社を買収したLINE Payで事業戦略・マーケティングにたずさわる。ベースフードに入社後、BASE BREAD®を開発。現在はCPO(Chief Product Officer・商品開発責任者)としてプロダクトの未来や実現のためのテクノロジーに向きあっている。

塚本 智也(つかもと・ともや)
大学時代は工学部で生物工学を学び、大学院で酵母の遺伝子について研究。大手消費財メーカーに就職後、調理油の基礎研究やドレッシング、粉末スープの開発、トクホ飲料のプロダクトマネジメントにたずさわる。大手食品会社に転職後はアミノ酸を活用したサプリメント開発(機能性表示食品)を手掛ける。2022年1月にベースフードに入社し、現在はBASE BREAD®の食感改善などに取り組む。

もくじ

BASE FOOD®のおいしさを支える仕事

ーー開発チームのみなさんは、それぞれどんな仕事をおこなっているんですか?

塚本:
メンバーごとに別のテーマで開発を担当するので、仕事内容はバラバラです。私の場合は試験計画の作成、ミーティング、試作品評価、結果解析、次の試験計画作成…を繰り返している感じです。設備の都合上、協力会社さんにサポートしてもらいながら仕事を進めています。

その日によって、やることは変わります。1日かけて試作をすることもあれば、がっつり次の計画を練る日もありますよ。

田沼:
私は、商品開発に直接たずさわるというよりも「商品の未来像」を考えることが多いですね。

「主食をイノベーションし、健康をあたりまえに」というベースフードのビジョンに対して、プロダクトのあるべき姿と、現状とのギャップは何か。

その上で、課題と解決するための優先順位を決めます。その課題解決を誰にお願いするか決めることが、私の仕事です。開発チームに入ったメンバーの、天才性を発揮できるテーマを適切にお願いできるかを大切にしています。

最近ではオフィスに出社する機会も増えてきたので、職場では「困っている人いないかな」と耳をダンボにして様子をうかがっています(笑)。


塚本:
私たちも、出社しているときはここぞとばかりに田沼さんへ話しかけます(笑)。

ーー活発なコミュニケーションが取られているんですね。試験計画の立案も仕事内容にふくまれていましたが、実際どのくらいのスパンで試験をおこなっているんですか?

塚本:
試験内容にもよりますね。早いものだと翌日には評価が出ますが、私の場合は長期保存が必要な試験をおこなうことが多く、1ヶ月後に結果が出るというものもあります。手当たり次第に計画を進めると効率が悪いので、パートナー会社さまの協力を得ながら、狙いを定めたうえで複数の計画を効率よく回すように意識しています。

――ちなみに、塚本さんは1月に入社後、どれくらい試験を実施しましたか?

塚本:
どのくらいでしょう。おそらく数十種以上の試験を実施したと思います。

田沼:
すごい数…!

――田沼さんは試験の都度、報告を受けているんですか?

田沼:
報告という形式ばったものというか、会話のなかで教えてもらう感じですね。

チームの文化はそのままに多様性が生まれた

――去年の取材から、食品開発チームはかなり人数が増えましたよね。

田沼:
そうですね。5名から20名に増えたことで、チームに多様性が生まれてきました。当時は20代〜30代で食品開発経験も少ないメンバーしかいなかったのが、今では50代の方もいて。食品開発経験のある方もジョインしてくれましたが、酒類やお菓子、サプリメントとバックグラウンドもバラバラなんですよ。

塚本:
みんなで工場見学に行ったときはおもしろかったですね。お菓子の人、お酒の人、サプリメントの人で、注目する部分も質問もまったく違うんですよ。

――同じ食品開発でも、全く視点が異なるんですね。

田沼:
うれしかったのは、これだけたくさん人が入っても、社内文化の大事なところは変わらなかったということですね。目標と現状さえ共有していれば、パン開発は未経験でも、みんな情報を集めつつ仮説をたて行動していきます。

驚くべきことに本当にみなさん優秀なんです。私が直接試験内容を指示することはなく、どんどん自走してプロジェクトを進めて下さいます。

協力会社さんとも、これまで通り活発に連携しています。すでに世の中にある手法やノウハウ、設備などでベースフードが持っていないものを、サポートしてもらっているという感じです。

塚本:
大企業や開発ノウハウの蓄積がある会社は、社内メンバーだけでプロジェクトを進めることが大半です。その点、ベースフードは協力会社さんと良好な関係を築いています。協力会社さんは、ベースフードの理念に共感し製品開発・製造にも多大な協力をいただいています。

会社外に助けてくれる人が多いという環境が、とても新鮮でした。

――そういえば、塚本さんは大手企業を経験していましたね。協力会社さんと連携するうえで、意識していることはありますか?

塚本:
工場・製造に関することは、なるべく現場を見た上で、現場目線で話せるようにしたいと思っています。時間があればなるべく現場での試験にたち会って、コミュニケーションを取るようにしています。

自走でき支えあえるチーム環境

――自発的に行動する文化が浸透している開発チームですが、組織として明文化しているルールはあるんですか?

田沼:
一度、メンバーが5人だったときにルールを作ったことがあるんです。ですが、わざわざ文字にして周知させずとも、みなさんいい感じに仕事をしてくださいます。だから、このまま封印でもよいかもと(笑)。

塚本:
そんなものがあったんですね。知らなかった(笑)。

田沼:
人数が増えても組織文化のコアが変わらないのは、全員が共通の想いを持って働いているからだと思います。それは「社会課題を解決したい」「自分たちが、世界を救う技術を生み出せるかもしれない」という想いです。

つよい想いがあるからこそ、本質を追う姿勢を忘れず、手段を目的化せず、ビジョンから逆算して行動できる人が多いのかなと思います。

――「全員起業家」みたいな組織ですね。

田沼:
そうですね。ただ全員が自立しているだけではなく、お互いに頼り頼られる関係も築けています。最近は塚本さんが発起人になって、週に1回開発チームで社内技術共有会を開いているんですよ。

ここでは最近の成果や、困っていることをみんなで共有しています。みなさん技術や開発、研究が大好きなので、「こうすればどう?」という意見がどんどん飛び交います。毎回すごく盛りあがっていて、私にとっても1番好きな時間です。

塚本:
メンバーはそれぞれ、自分に課せられた課題に向きあっています。その知見は、絶対他のメンバーにも役たつに違いない。その知見を組織全体で共有することで自分たちの活動の付加価値を高める場を設けたいと思ったんです。

同じタイミングで入社したメンバーと飲んでいたときに、この話をしました。みんな「それ、絶対やった方がいいよ!」と賛同してくれたので、やる価値があると確信しました。

田沼:
私たちは常にあたらしいことをやっているので、「大御所」がいません。それも、こうした共有会がワークしている要因なのかなと思います。私もベースフードでの仕事は約4年で長い方なのですが、あたらしい試みでは分からないことばかりです(笑)。

食品開発チームはこんな集まりだよ!

――ここからは、食品開発チームメンバーのことを伺いたいなと。せっかくなので、それぞれの「この人はここがすごい!」という魅力を教えてください。

田沼:
塚本さんは、とてもインテリジェントで考えることが得意な方です。抽象度の高い問題も、自分なりに整理して把握・理解する能力がとても高くて。専門的な知見も深いので、話すたびに「そうなんだ!」と驚かされます。

頭を動かすことと手を動かすことを、両立できるのもすごいところですね。普通、どちらかに偏るじゃないですか。食品の技術開発には両方の能力が必要なので、まさに「真の食品開発者」という印象です。

あと、塚本さんは「チームのため」「事業のため」とよくおっしゃいます。利他的な姿勢が、とても素敵だなと思います。だからこそ、社内技術共有会のようなアイディアも思い浮かんだんだろうなと。

あ!お酒をたくさん飲むのにお腹が弱いというのは、塚本さんの意外な一面があります(笑)。

塚本:
昔からよく二日酔いになるんですよね…(笑)。

――塚本さんから見た田沼さんは、どんな方ですか?

塚本:
何よりすごいのは、食品開発経験がないのにBASE BREAD®を開発・販売までこぎつけたところですよね。私は社会人になって、さまざまな商品開発に関わってきました。世にない新製品を出そうとしたけれど、結果につながらなかったこともあります。

食品開発者でもできないことを、田沼さんはやり遂げたわけです。しかもこれだけ成長している。正直に「やられた!」という思いがつよいですね(笑)。

田沼さんはバックグラウンドも豊富で、視野が広い。ある結果に対して「その現象はなぜ起きるのか」「どんな科学原理が働いているのかを突き止めたい」と常に考えていらっしゃいます。

私もそうですが、実製造ラインでの開発経験がある場合、「それをどう製造にこぎつけるか」という視点に固定されがちです。田沼さんと話していると、気付かされることも非常に多いし、自分にない視点が開発のヒントになることもあります。

商品の品質を良くすることだけを目指すのであれば、「これを使えばいい」という結論で終えてもいいんです。

そこから一歩理解を深めると、

「この素材の○○が作用しているのなら、違うものでも代用できるんじゃないか」
「この工程を変えれば、よりよい結果が得られるんじゃないか」

と、検討の幅を広げられます。

世界初にたち会えるかも?技術者にとって刺激にあふれる職場

――田沼さんとの話が、塚本さんの仕事にあらたな選択肢を作ってくれるんですね。

塚本:
ベースフードには、まったく異なるバックグラウンドの方がいるので、日々新鮮です。私たちは「完全栄養食のパン」を作っていますが、こんな主食は世の中に存在しません。今、たまたまパンの形をしているので既存の製パン技術の知識を活用していますが、それだけではより多くのお客さまにおいしいと感じてもらえる製品が実現できない可能性だってあります。

誰も完成形を知らない製品を、私たちはつくっています。日々あたらしい発見があり、開発者としておもしろいことばかりです。

――毎日があたらしい発見というのは、技術者にとって胸躍る環境ですね。

塚本:
ベースフードに入ってよかったなと感じるのは、BASE FOOD®はD2C製品なので、お客さまの声を近くで聞けるという点です。実際に消費者の声を間近で聞けるのは、すごくいい環境だと思います。

例えば、私はパンのやわらかさの改善を主に担当しています。通常パンは、つくりたては柔らかいですが時間が経つと硬くなってしまいます。もしも、お手元に届いて1ヶ月たったパンのやわらかさが、つくりたてのままだったらどうだろう。もしかしたら、「おいしくてやわらかい」という理由で、これまでよりも多くのお客さまがBASE BREAD®︎を選んでくれるかもしれない。

そうなったらおもしろいなと思い、日々仕事をしています。

――田沼さんは、「ベースフードで働いていてよかった!」と感じることはありますか?

田沼:
最近の話では、自分が直接商品開発に関わらなくなった代わりに、未来の話を考えたり、メンバーをケアする時間が増えたりしたことです。

仕事ぶりを見ていると、時折メンバーの天才性が光る瞬間がある。そういうのを見た時、とってもうれしくなっちゃいます(笑)。

社内技術共有会でも、全員の意見が飛び交うことで化学反応が起こるんです。「これが実現できたら世界初じゃない!?」と、一気にみんなで盛りあがります。世界初がここにあるかもしれない環境って、すばらしいなと思いませんか?

――世界初の瞬間にたち会えると思うと、確かに興奮してきますね!

田沼:
知的好奇心に満ちた、エキサイティングな毎日を過ごせるのが、ベースフードのいいところかなと。メンバーが増えたことで、サイエンス&テクノロジーカンパニーとしての第一歩を踏み出せたという実感があります。

ビジョンにつよく共感する人「全員」と仕事がしたい

――現状、開発チームにはどんな課題がありますか?

田沼:
チームメンバーが増えて、できることが一気に広がりましたが、いかんせんやることは山積しています。食を通じて社会課題を解決するには、もっとたくさんの領域の方々の力が必要です。

ベースフードでは、入社時にポジションを確定してはいません。だからこそ、科学技術、例えば食品系はもちろん他業界である製薬、材料、工学、医学、データサイエンス系等と、様々なバックグラウンドを持つ方に来ていただきたいです。

未来の食文化を担っていくという意味では、シェフやアート系の方々がいるともっとおもしろくなるかもしれません。こうした才能をうまく統合・連携できる戦略・企画系が得意な方にも来ていただきたいですね。

――そんな方々が集まったら、今以上に多様性のある会社になりますね。

田沼:
そうですね。本音を言えば、私たちのビジョンにつよく共感してくださる方全員に、応募してほしいです。私たち自身、現時点で見落としている「チームに必要な才能」があるかもしれません。

「これがベースフードには必要じゃないですか?」と、ぜひ教えていただきたいなと思っています。

塚本:
極端な話、どんな人でも活躍できる環境ですね。

田沼:
そう。採用の話をするとき、私たちが目指すべきは「吉田松陰」だねと話すんです。明治維新の先駆者である吉田松陰は、来るもの拒まずの姿勢で「松下村塾」の入門を許していました。

今はまだ私たちの組織力、マネジメント力が不足しているので、「選考」という形になっています。最終的には、私たちのビジョンにつよく共感した方は、全員採用できるような組織になっていきたいですね。

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