ビタミンDは必須栄養素の一つで、骨の成長促進や血中カルシウム濃度の調節、カルシウムの吸収促進、免疫機能の調整などの働きを持つ脂溶性ビタミンです。
ビタミンDは食品からのみでなく、太陽の光を浴びれば体内での生成も可能です。ビタミンD不足を予防するためには、適度な日光浴と食事からのビタミンD摂取が必要だといえるでしょう。
今回の記事では、ビタミンDが多く含まれる食べ物をまとめました。ビタミンD不足を防ぎたいと考えているのなら、ぜひ参考にしてみてください。
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ビタミンDの1日の摂取量の目安
ビタミンDにはD2〜D7までの6種類が存在するものの、一般的にはビタミンD2とD3が体内で活用されています。なかでもビタミンD3は、紫外線を浴びれば体内でも生成可能です。
ビタミンD2とD3は、体内で次のような働きを持ちます。
- カルシウムとリンの吸収を促進する
- 骨や歯の成長を促す
- 血中カルシウムやリン酸を調整する
- 免疫機能を調整して感染症の発症と悪化を予防する
ビタミンDの食事摂取基準は年齢や性別で異なります。
成人が1日に摂取するべきビタミンDは8.5μg、耐容上限量は100μgです※1。
ビタミンDを最も多く必要とする年齢は、男性の場合15〜17歳で9.0μg、女性の場合は12〜14歳で9.5μgです。
ビタミンDの過剰摂取は高カルシウム血症を招きます。ビタミンDが多すぎる体では、腎臓や心筋などにカルシウムが沈着して、腎機能障害や嘔吐が起こる可能性が考えられます。
ビタミンDは脂溶性ビタミンであるため、水溶性ビタミンのように尿中に排出されないことから、不足のみでなく過剰摂取にも注意しましょう。
また、乳児のビタミンD摂取量は、母親が摂取しているビタミンDの量で決まります。
そのため、妊娠中の方は十分な量のビタミンDを摂取しましょう。とくに、紫外線を浴びる機会が少ない寒い時期や、そもそも外出が少ない方は意識的にビタミンDを食品から摂取するべきです。
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ビタミンDを多く含む食品
ここでは、ビタミンDが豊富に含まれている代表的な食品を紹介します。
自身が取り入れやすい食品を見つけて、毎日の献立に活用しましょう。
ビタミンDは卵や肉類にも含まれていますが、とくに魚類の含有量が高いため、効率よくビタミンDを摂取したい方は魚類を食事に加えてみてください。
いわし
生の真いわし100g中に含まれるビタミンDは32.0μgです※2。一般的な真いわしは1尾100g未満ですが、ビタミンDの含有量が高いため1尾でも十分な量を摂取できるでしょう。
また、真いわしは100g中のカロリーが156kcalであり※2、ダイエット中の方にも適した食品です。ビタミンDのほかに、タンパク質摂取にも適しています。
サンマ
皮付きの生サンマには、100gに16.0μgのビタミンDが含まれています※2。サンマは1尾100g以上のサイズが多いため、1日に必要なビタミンDを摂取可能だといえるでしょう。
ただし、サンマは比較的カロリーが高い魚であることから、食べ過ぎに注意が必要です。100gの皮付きサンマのカロリーは287kcalです。
サンマを食べる際には、ほかの食品でカロリーオーバーが起きないように注意してください。その他、サンマからはビタミンDのみでなくビタミンAやタンパク質も摂取可能です。
鮭
生のしろさけ100g中には32.0μg、生のべにざけ100g中には33.0μgのビタミンDが含まれます※2。生のさけ100g中のカロリーはしろさけで124kcal、べにざけで27kaclです※2。
鮭を食べることで豊富なビタミン類のみでなく、DHAやEPAなどの栄養素も摂取できます。鮭は比較的調理しやすく骨が少ないため、子どもでも食べやすい魚の一つです。
カレイ
ビタミンD以外にビタミンB2やビタミンEも豊富に含まれる生のマガレイ100gからは、13.0μgのビタミンDが摂取できます。
マガレイは低カロリーな食品であり、100gのカロリーは89kcalです※2。また、多くのタンパク質も含まれていることから、ダイエット向きの食品だといえるでしょう。
うなぎ
うなぎは、次のような栄養素が含まれています。
- ビタミンA
- ビタミンB1とB2
- ビタミンD
- ビタミンE
- 亜鉛
- カルシウム
- DHA
- EPA
養殖の生うなぎ100gからは、18.0μgものビタミンDが摂取可能です※2。
ただし、カレイと比べるとカロリーは低くないため、食べすぎは特定の栄養素の過剰摂取や肥満につながる恐れがあります。
しまあじ
養殖の生シマアジ100g中に含まれるビタミンDは18.0μgです※2。
シマアジを食べれば、豊富なタンパク質やDHAやEPAなどの良質の脂質が摂取できます。100g中のカロリーは153kcalのため※2、ヘルシーな魚の一つだといえるでしょう。
あん肝
あん肝とは、あんこうの肝臓のことです。あんこうは深海に生息しており、少ない栄養を脂肪として肝臓に蓄えます。そのため、あん肝はフォアグラのような濃厚でまろやかな味わいです。
あん肝100gに含まれるビタミンDの量は110.0μgです※2。魚類のなかでも、とくにビタミンDの含有量が多いといえるでしょう。
あん肝には多くのタンパク質も含まれていますが、脂質とカロリーが高いため食べ過ぎには注意しなければいけません。その他にもあん肝からは、鉄や銅、レチノールなどの微量栄養素を効率よく摂取可能です。
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ビタミンDの効果
ここではビタミンDを食べることで得られる効果について、より詳しく解説します。
ビタミンDの摂取を考える前に、働きや役割を理解しましょう。
腸管のカルシウム吸収を促進
カルシウムは骨の材料となる栄養素であるものの、吸収率が低く摂取した量の一部しか体内に取り込めないという特徴があります。
そのため、カルシウムが豊富な食品を意識して食べても、すべての栄養が体に吸収されるとは限りません。ビタミンDとカルシウムの同時摂取により、腸管でカルシウムの吸収が促され、カルシウムの吸収率を高められます。
ただし、ビタミンDを過剰摂取した場合は、腸管でのカルシウム吸収バランスが乱れて高カルシウム血症につながる恐れがあります。
骨格・歯の発育促進
ビタミンDは、腸管でカルシウムの吸収を促進させるのみではありません。
骨を作る骨芽細胞の働きを活性化させて骨の形成を助けたり、歯の発育を促したりする役割もあります。
十分な量のカルシウムが存在する歯には再石灰化が繰り返され、硬いエナメル質が構成され、虫歯に強い健康的な歯になるでしょう。
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ビタミンD不足によるリスク
現代人の多くは、ビタミンDが不足しやすい生活を続けています。
ビタミンD不足が招く問題を理解し、意識的にビタミンDを摂取してください。
腸管・腎臓のカルシウム吸収の低下
ビタミンDが不足すると、腸管や腎臓でのカルシウムの吸収率が下がります。
その結果、吸収しにくい栄養素であるカルシウムがより活用されにくくなり、体中でカルシウム不足による弊害が起こるでしょう。
ビタミンD不足の状態でカルシウムの摂取量を増やしても、問題が改善されない可能性があります。
低カルシウム血症
低カルシウム血症とは、血中のカルシウム濃度が非常に低い状態のことです。
低カルシウム血症になると、次のような症状が現れます。
- 強い痛みとともに筋肉が痙攣する
- 筋肉が強張るまたは疼く
- 唇や指、足がチクチクと痛む
- 抑うつ状態になる
- 錯乱状態になる
- 忘れっぽくなる
低カルシウム血症はビタミンD不足以外に、先天性の副甲状腺欠損、副甲状腺機能低下症、マグネシウム濃度の低下、膵炎、服用中の薬剤の影響で発症する可能性もあります。
また、カルシウムの摂取不足やカルシウムの吸収を低下させる病気も低カルシウム血症となる原因の一つです。
骨の軟化
ビタミンDが不足してカルシウムの吸収効率が下がると、骨や軟骨に石灰化障害が起こり、石灰化していない骨器質が増加します。骨の軟化の病名は成人前に発生した場合はくる病、成人後は骨軟化症と呼ばれますが、主な症状は同じです。
骨の石灰化障害が広がると全身の骨強度が低くなり、次のような症状を招きます。
- 腰背部痛
- 股関節や膝関節などの痛み
- 骨盤、大腿骨、下腿骨の痛み
- 骨折
- 下肢または腎筋の筋力低下による歩行障害
- 脊椎骨折による脊柱の変形
初期段階では明確な症状が現れない方が多いものの、進行すれば日常生活を送ることも困難になるでしょう。
慢性的に骨に痛みを感じる方は、一度医療機関を受診してみてください。
骨粗鬆症
骨の強度が低下し、骨折しやすくなる病気を骨粗鬆症と呼びます。
骨粗鬆症は、カルシウムの吸収が悪くなったりビタミンDが不足したりした際に発生します。通常、骨は形成後も新しい骨に生まれ変わり続けるサイクルにより、強い骨を維持可能です。
骨粗鬆症の方は新しい骨が作られる働きよりも、古くなった骨が取り除かれる働きの方が強くなり、時間をかけて骨の中身がスポンジのようなスカスカの状態になります。
骨粗鬆症が進行すると、軽く手をつく動作やくしゃみをするのみで骨にヒビが入ったり、骨折したりする場合があります。骨粗鬆症は自覚症状がない病気であるため、定期的に骨密度検査を受けることが大切です。
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ビタミンDは健康的な生活を送るために欠かせない栄養素です。しかし、ビタミンDが豊富に含まれる食材は魚類であり、調理や外食が難しいと感じる方もいるでしょう。
とくにビタミンDが豊富な食品である魚類を食べることが苦手な方は、ビタミンD摂取の難易度が上がります。
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そのため、必要な栄養素の不足を予防したいと考えている方のみでなく、ダイエットをしている方にも適した食品だといえます。※14
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まとめ
ビタミンDは、カルシウムの吸収率を促進する重要な栄養素です。
ビタミンD不足による骨軟化症や骨粗鬆症、低カルシウム血症を予防するためには、積極的に普段からビタミンDを摂取してください。
ビタミンDを多く含む食品は魚類であり、とくにあん肝や鮭、いわしなどからは多くのビタミンDが摂取可能です。
またビタミンDに限らず、体が必要な栄養素を効率よく手軽に摂取したいと考えているのなら、完全栄養食品であるBASE FOODをおすすめします。※15
BASE FOODであれば、自炊や栄養成分を計算する時間がない方でも健康的な食生活が送れるようになります。
<参考文献>
※1 厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020年版)|1―6 ビタミン(1)脂溶性ビタミン
※2 文部科学省|日本食品標準成分表2020年版(八訂)
監修:工藤まりえ(管理栄養士)
大学にて栄養学と分析化学を専門とし、管理栄養士免許を取得。卒業後は都内飲食系会社にてフードコーディネーターとして勤務。また、管理栄養士としてはスポーツジムに通う方を対象に、体質改善・ダイエットのための栄養指導を実施。短期的な痩身だけでなはなく、健康的で太りにくい体質への改善を目指した、専門的かつ行動に移しやすいアドバイスを毎月100名程に対して行っている。